「ジーン・ワルツ」を読んだ。
海堂氏の本は「チームバチスタの栄光」で、内容もさることながら、登場人物たちの魅力にはまって、「ナイチンゲールの沈黙」、「ジェネラル・ルージュの凱旋」と3部作を立て続けに読んでしまった。
で、今度は、私に最も近いテーマ、妊娠と出産に関する内容だ。
医療問題について、これだけ面白く、ストーリーにぐいぐいと引き込んで読ませてしまう力に、いつもながら感服してしまう。やっぱり、社会の問題を人に伝えていく時にはエンターテイメントが必要なんだよなと、ちょっと仕事のことを思い出す。
この本には、体外受精、代理母出産、産婦人科の緊急受け入れ拒否や産科・小児科がどんどんつぶれていってしまうのはなにが悪いのか、という、妊娠と出産(ちょこっと子育ても)をめぐる医療問題がてんこ盛りで紹介されている。なのに不育症のことが全く触れられていないのはちょっと寂しいけれど・・・、でもそうすると、これはまだマイナーなのかな。
この本を読むと改めて、妊娠して五体満足の子どもを出産できることは、本当に、本当に、すごい奇跡なんだということを実感させられる。
そして妊娠や出産は病気じゃないから、誰もが、その医療現場では天使たちがひらひらと舞っていると思っているけれど、本当は死と隣り合わせの過酷な現場でもある。
それってすごいことだ。多くの人は普通のことだと思っているかもしれないけれど、私にとっては本当に奇跡だと思える。
そしてそんな素敵な「奇跡」にいつか自分も立ち会ってみたい。立ち会えるといいんだけど・・・な。